案の定、普段人があまり入らない体育館側の女子トイレのドア窓から新伊の姿が見えた。
新伊は前と同じく、苦しそうな表情で手を洗っている。
ずっと水を出しっぱなしで、石鹸を使い、力を入れて丁寧に洗う。
丁寧というよりも、なんだか憎しみがこもっているようにも見える。
唇を噛み、今にも泣きそうな顔の新伊。
とてもじゃないが、このままほったらかしでオレだけ先に帰るわけにはいかなかった。
オレはしばらく女子トイレのドアの横の壁に寄りかかっていた。
20分ぐらい経った頃、ようやく新伊はハンカチで手を拭きながらトイレから出てきた。
表情は先ほどとは違い、少しホッとしたような顔。
「…んなに洗って、痛くないわけ?手」
新伊は驚いてオレの方を向いた。オレの存在に気づいていなかったようだ。
「山崎くん?!…あれ?ゴミ袋…」
オレは右手にゴミ袋と軍手、火バサミを持っている。それを新伊に差し出した。
「行くぞ、ゴミ拾い。さっさと終わらせようぜ」
新伊はオレの言葉を聞き、少し笑った。先ほどの苦しそうな表情とは大違いだ。
そして、小さな声で「ありがとう」とつぶやいた。
オレはさっさと帰ろうと思っていたのに、なぜかゴミ拾いをやるハメになった。
新伊は前と同じく、苦しそうな表情で手を洗っている。
ずっと水を出しっぱなしで、石鹸を使い、力を入れて丁寧に洗う。
丁寧というよりも、なんだか憎しみがこもっているようにも見える。
唇を噛み、今にも泣きそうな顔の新伊。
とてもじゃないが、このままほったらかしでオレだけ先に帰るわけにはいかなかった。
オレはしばらく女子トイレのドアの横の壁に寄りかかっていた。
20分ぐらい経った頃、ようやく新伊はハンカチで手を拭きながらトイレから出てきた。
表情は先ほどとは違い、少しホッとしたような顔。
「…んなに洗って、痛くないわけ?手」
新伊は驚いてオレの方を向いた。オレの存在に気づいていなかったようだ。
「山崎くん?!…あれ?ゴミ袋…」
オレは右手にゴミ袋と軍手、火バサミを持っている。それを新伊に差し出した。
「行くぞ、ゴミ拾い。さっさと終わらせようぜ」
新伊はオレの言葉を聞き、少し笑った。先ほどの苦しそうな表情とは大違いだ。
そして、小さな声で「ありがとう」とつぶやいた。
オレはさっさと帰ろうと思っていたのに、なぜかゴミ拾いをやるハメになった。
