「姉様・・・兄様に聞きました。姉様の事。
父様が姉様にしたこと全て・・・」

「そっか・・・聞いちゃったんだね。
お前には知られたくなかったんだけど・・・」

苦笑いするミア。

「姉様・・・お母様たちに会いたい・・・ですか」

「・・・そうだね。会いたくないわけじゃないけど」

「けど?」

「今更会いには行けないかな・・・」

「どうして」

「私が魔界に連れてこられたのは五つの時。
その時には母のお腹に一つの命が宿っていた」

「え・・・じゃあ・・・」

「弟が生まれていた・・・その子には時より
会ってはいるけど・・・母たちには会えない・・・」

「どうしてですか」

「それだけ闇が深いということ・・・」

「そんな・・・」

「でも全然苦じゃない。私にはおまえがいるから」

「姉様・・・」

「無理やり連れてこられてしまったけど私には
今はもうこの世界が、この国が母国だから」

「姉様・・・ありがとう」

「どうして・・・礼なんて」

「だって・・・」

「変な子だな・・・」

ミアは笑った。

雪・・・お前がどんなに負い目を感じても時間は戻らない。

私にはこの世界が全て。

あの時から私の時間は止まったまま・・・

進むことを知らない時計・・・

私の心はあの時に壊れてしまったんだよ。

ごめんね。

私はもう戻れない・・・