☆お化け屋敷の音

三嶋大和「俺は何してるんだ...早く、美咲のところにもどってやらなきゃ...あいつ泣いてるんだろうな」

☆ひたひたと歩く音

黄泉の案内人「んー? なんだ、おまえ迷い人かよ。人間がこんなところに居たら取り込まれるぞ」

三嶋大和「出口がわからなくて...ここはどこなんですか?あなたは...」

黄泉の案内人「俺はただの案内人だ...この門の番をしてる...ただ、それだけだ」

三嶋大和「そうなんですか...ここは黄泉の世界なんですか?」

黄泉の案内人「あぁ、そうだ。長くいるとおまえ、元の世界には戻れなくなるぞ?彷徨うことになるか...もしくは...妖になっちまうなぁ」

三嶋大和「俺が妖に...ははっ、ミイラ取りがミイラになっちまうな」

黄泉の案内人「何がおかしいんだ。早くおまえは人間の世界に戻れよ」

三嶋大和「戻り方がわからないのに戻れって言われてもなぁ...それに、なんだか案外戻らなくても世界はそのまま進んじゃうんじゃないかなって思うんですよね」

黄泉の案内人「そうだな、人間が1人いなくなっても大して変わらないのかもしれないなぁ」

三嶋大和「俺、好きな女を置いてきちゃったんですよ...でも、そんな女は...俺の親友の初恋の相手なんですよ...俺、相談に乗ってたんです...ずっと...」

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☆かねの音

空島美咲「そうたー!やまとー!早くしないとバス行っちゃうよー」

羽山颯太「なぁ、大和。俺、修学旅行中に美咲ちゃんに告白するよ」

三嶋大和「おう、そうか」

羽山颯太「今まで相談に乗ってくれてありがとな」

三嶋大和「あぁ、たいしたことしてないけどな」

羽山颯太「んなことねーし!」

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三嶋大和「颯太...ごめん、美咲に告白された...」

羽山颯太「は?大和、お前...んで、どーしたんだよ、返事」

三嶋大和「付き合うことにした」

羽山颯太「お前、美咲ちゃんのこと好きだったのかよ、なんで黙ってたんだよ...言えよ」

三嶋大和「言える訳ねーだろ、相談に乗ってた奴の相手が好きだなんて」

羽山颯太「くそっ」

☆何かを蹴る音

三嶋大和「颯太...悪かった」

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三嶋大和「バチが当たったかな」

黄泉の案内人「人間の青年...お前はどうしたいんだ?」

三嶋大和「生きたい...いや、もう疲れたのかもしれない...けど、そうだな。ちゃんと、最後に颯太と...話したい」

☆走る音

羽山颯太「馬鹿野郎!何最後にしてんだよ、お前はいつもいつも勝手すぎるんだ、大和!」

猫又(シロ)「そ、颯太様っ、早いですっ(息を切らしながら)」

三嶋大和「颯太...おまえっ、どうしてここに!?」

羽山颯太「大和さ、なんでいつも大切なことを俺に言わねーの、そんなんで親友とか笑っちまうよな、ほんと」

三嶋大和「颯太...おまえ...」

羽山颯太「美咲ちゃんのことも悔しかったよ、すげー悔しかった。でもさ、俺はおまえと友達やめる気ねーよ、親友、やめてやる気ねーから」

三嶋大和「颯太...ごめん、ほんとに...ごめん、でも俺っ、」

羽山颯太「大和のこと大事に思ってなかったらこんなとこまでこねーよ、馬鹿野郎」

三嶋大和「颯太っ、っぐぁあぁっ首が熱いっ」

黄泉の案内人「遅かったか...妖になりかけてやがる」

猫又(シロ)「大和様は首を妖に以前あてられたのかっ、それはなりません!妖になるのが早まってしまう」

羽山颯太「大和っ!?させるかよっ、美咲ちゃんのところに帰すって約束したんだ。大和しっかりしろよ!」

三嶋大和「颯太、離れろぉ、俺はもういい...颯太とわかりあえたから...もう、思い残すことはない...美咲は...俺が告白したんだ...颯太が告白する前に...はぁ、、だから、きっと」

羽山颯太「関係ねーよ、美咲ちゃんのことは今は関係ねーよ!大和を助けること以外今は関係ないだろ!臨、兵(りん、ぴょう)」

猫又(シロ)「シロも助太刀致します!我が命に従う下等の妖よ...この者に憑くものを払いたまえ!わたくしは、颯太様と未来を歩むために...大和様は必要だと...思います...だから、生きてもらいたいのです」

羽山颯太「大和は本当に馬鹿野郎だ。だから俺と一緒に生きてその馬鹿野郎を、なおしてやる!だから、まだ死ぬんじゃねーよ、妖に取り込まれるなよ」

三嶋大和「颯太...ごめんっ、ありがとう」