三嶋大和「終わったんだな...」

☆バサッという倒れた音

空島美咲「大和!?大和、しっかりしてっ」

*******

羽山颯太「大和...目、覚まさないのか?」

空島美咲「そうなの...あれから、3週間よ...どうしちゃったのかしら」

羽山颯太「なんでだよ、妖は鎮めたし...全部丸く収まったんじゃねーのかよ」

☆物をなんか投げる。

空島美咲「やめて、颯太。物に当たっても大和は目を覚まさないよ」

☆走ってくる音

猫又(シロ)「颯太様!分かりました!大和様が目を覚まされる方法が!」

付喪神(たぁ坊)「たぁもわかったよ」

羽山颯太「シロ、やるじゃん」

猫又(シロ)「大和様は今、一時的に妖に会われたことによって冥界をさまよってらっしゃいます...いわば、体は空っぽの状態なのです」

羽山颯太「魂が抜けてるってことか?」

猫又(シロ)「はい、おそらく...大和様のお母様は長い間魂だけでさまよわれていたため、うぶめという妖になってしまいました。大和様のお力で浄化はされましたが...道連れにされた可能性もあります」

空島美咲「そんなっ、大和はお母さんと和解したようにみえたわっ、なのに、なんで...」

猫又(シロ)「それは...」

羽山颯太「大和はお母さんと会えた安心感でホッとしていたんだろ...気が抜けた時に他の妖に邪魔されたとか?」

猫又(シロ)「憶測(おくそく)でしかありませんがその可能性もあります。現状、今...この身体には大和様の魂はありません...抜け殻です」

空島美咲「やまとぉ...うっ、ひっく」

羽山颯太「俺が大和を助ける方法はあるんだろ?シロ」

猫又(シロ)「それは...わたくしは...お教えできませ...」おおいかぶさるようにセリフ

羽山颯太「シロ、教えろよ...大和を連れ戻す方法...教えてくれよ、頼むよ...大和は俺の唯一のダチなんだ...俺が家族から見放されても大和だけは...ずっとそばにいてくれたんだ...今度は俺が大和を助けたいんだよ」

猫又(シロ)「シロは颯太様をお守りするようにつかいに出されました...大和様を助けることは颯太様を危険にさらすことになります...黄泉に颯太様を行かせるなんてわたくしには...できません」

羽山颯太「シロ...お前はじいちゃん、じいちゃんって言ってるけどな...俺の家族をめちゃめちゃにしたのはじいちゃんなんだ...じいちゃんのつかいってだけでも俺は気に入らないんだよ...お前が教えてくれないなら俺が...大和を助ける方法を自力で見つける...それがどんなに危ないことでもな」

猫又(シロ)「宗吉(むねよし)様は...羽山家の行く末を案じておりました。政宗(まさむね)様と和解できず...この世を絶たれたのは無念であります...ですが...」

羽山颯太「今はそんなことどーでもいいんだよ、方法を教えてくれないなら俺は勝手にするよ...いいんだな、シロ」

猫又(シロ)「シロは...」

羽山颯太「死んだ奴の言うことなんかいちいち聞いてんじゃねーよ、大切なのは今だ、これからだろ...過去なんかどーでもいいんだよ」

猫又(シロ)「シロは宗吉様の言うことを聞くばかりで自分の意見を述べたことはありませんでした...ですが、今...わたくしは颯太様のお力になりたい...そう思います」

羽山颯太「シロ...じゃあ」

猫又(シロ)「シロも一緒に黄泉に行きます。それを許してもらえるならば、颯太様の意に従います」

羽山颯太「シロ...ありがとう」

猫又(シロ)「宗吉様の言う通り、一筋縄でいかないお方ですね...颯太様」

羽山颯太「じゃあ、行ってくるよ...美咲ちゃん。たぁ坊のことよろしく」

付喪神(たぁ坊)「たぁはいかないの?」

空島美咲「颯太ぁ、大和をよろしくね...たぁ坊ちゃんは任せて」(泣きながら)

☆BGM