……通りすがりだったから、
京ちゃんに手も振れなかったな……。


…なんて、そんなことを思っているうちに
あっという間にB組教室に着いた。


「じゃあ、またね実月ちゃん」


「うん!午後も頑張ろうね!」


そう言って、
わたしは教室に入った……そのとき。


「ふふっ…ついに昼休みも
一緒に過ごす仲にまで進展したのね」


「わっ…!」


いつの間にか隣にいた菜々ちゃんが
不敵に笑いながらそんなことを言う。


「ち、違う違う…!
今日はたまたま航くんに
借りた本を返しに行っただけ…!」


…思わず慌てながら言うと
「えー?」と、まるで疑うような視線で
見つめてくる菜々ちゃん。


ぜ、絶対菜々ちゃん、楽しんでる……っ!