「……え?痛くないの…?」


最初は、強がってるだけかと思ってたけど…
どうやら、嘘をついているようにも見えない。


「…うん、大して痛くない」


…と、目の前でそんなことを
しれっという京ちゃんに…


「……さ、詐欺だ…!痛い痛い詐欺…!」


と、わたしは叫んでいた。


「ふっ…痛い痛い詐欺ってなんだよ。
俺、痛いなんて1回も言ってねー」


「う、うるさいよ…心配して損した。
っ…もう絶対に抱きしめてあげな……」


__ガタッ…


「っ……」


……今、何が起こったんだろう。


__気付けば、京ちゃんはイスから
立ち上がっていて…


…いつの間にか、わたしは京ちゃんに
抱きしめられていた。


__誰よりも落ちつく香りが、
ふわりと香った。