菜々ちゃんを部屋に招き入れて
わたしは1度、リビングに行った。


トレーに、飲み物やお菓子を乗せて
2階に上がろうとしたとき。


「ここにあったんだ…!」


リビングに置きっぱなしの携帯電話を
見つけて、わたしは電源を入れた。


「や、やばい…。連絡するの忘れてた…」


菜々ちゃんからの着信やラインの通知数に
思わず冷や汗が流れる。


そして、不意に一昨日……
金曜日のことを思い出す。


……そ、そうえばわたし。
菜々ちゃんが彼氏さんと電話している間に
航くんのことを見つけちゃって…


『わたし、用事思い出しちゃった…
またあとで、連絡するね!』


それだけ言って、
一方的に帰っちゃったんだ……。