俺の手が届く範囲にいろ。



「…実月のことは
俺が1番分かってるよ、たぶん。」


アイスコーヒーをゴクッと飲みながら
そんなことを呟いた。


「…おまえを笑わせる方法だって知ってるし
…本当は寂しいくせに、
すぐ強がるとこも知ってるし」


「そっ、そんなことは…」


「…だからさ」


そう言って、
京ちゃんはわたしと目を合わせた。


「だから、もうひとりで泣くなよ。
俺に隠しごとなんて、しなくていいから」


「……っ…京ちゃん…」


「……あと追加。おまえがガキの頃から
単純ってことも知ってるし…」


「…まって!それは言わなくていいよっ…!
今、感動的なシーンだったのにっ…
うるっと来てたのに…!」


「ふっ…なんだそれ」


と、京ちゃんはいたずらに笑って
ベンチから立ち上がった。