俺の手が届く範囲にいろ。



「ねぇ、京ちゃん!」


「…ん?」


「色々とありがとね!」


急にわたしがお礼を言ったからか…


京ちゃんは少し驚いた顔をしたあとに
ふっと笑った。


「なんだよ、突然。」


「っいや、その…。京ちゃんはわたしのこと
何でも理解してくれてるなーって思って…」


今日だって、
きっとわたしが落ち込んでたから
水族館に連れ出してくれたんだよね。


「だから…ありがと」


そう言って、わたしは微笑むと
京ちゃんはなぜか、ふいっと顔を背けた。


「……俺も、そう思う。」


不意に、そんな言葉を残した京ちゃん。


気のせいかもしれないけど
京ちゃんの頬は、ほんの少し赤い気がする。