「っていうか、ちゃんと礼服用意してあったのかよ…。」

 まさかのそんなオチ。

「さすがに、まずいでしょ…。いくらギャグ小説でも、できる範囲というのは、あるわよ。」

 そうですよね…。

「すいませ~ん。」

 とりあえず、きちっとした、スーツ姿に身を包んだ青山と恵は白山さんの家のインターホンを押す。

 ん?今、すいませ~ん…って言わなかったか?

 まぁ、田舎では、インターホンを押しながら、声をかけるのは基本か…。

「は~い…あ、黒田さん家の…ワザワザ来てくれたの…ありがとね。隣にいるのは、彼氏さん?」

 出てきたのは人のよさそうなおばちゃんだった。

 なんというか、天然パーマに、厚化粧。

 しっかりと黒服に身を包んでいるあたり、よくも悪くも田舎のおばちゃんの喪服といったところだろうか…。

「えっと、まぁ、仕事仲間です。」

 そんな言葉でまとめたほうが、妥当だよな。

「あら、そうワザワザゴメンナサイね…ドタバタしちゃって、まだお通夜の準備もできてないのよ…。」

「いぇいぇ、お気遣いなく…。」

 なんだ、この和む展開は…。

 これだよ!

 俺がずっと求めていたものは!!

「茂…失礼だから、人が死んでる家の前で感動の涙とか流さないで…。」

 そうですた。

「ごめん。」

 言われて、涙を拭く。