そして、春休み――


ほぼ毎日のように麻美の家に行って、遊んでいた。



「…リスカ…してんの?」

ある日、恭介さんに左手首の傷を見られ、そう言われた。


「これ以来は…してないです…」


わたしは、手首を隠しながら言った。


「……リスカなんか、やらんほうがいいぞ?」


恭介さんのことばは、重かった。


のんびりとした口調なのに、胸に響いた。



恭介さんには彼女がいた。



でも、わたしは気付いてしまった。


『恭介さんが好き』