「ふええ~ん」

叱ったため卯月は、
先生に抱っこされながら泣いていた。

しかしお店の物を勝手にちぎることは、
いけないことだ。
可哀想だが仕方がない。

新しく取り替えてもらった絵本を
購入した。

「ほら、卯月。
あの絵本買ったからもう泣かないで」

車の中でも
泣いている卯月に買った絵本を見せてあげた。

「ふえ……?」

卯月は、半べそになりながら
その絵本を受け取る。
するとふにゃっと笑顔を見せてくれた。

か、可愛い……。

厳しくしないといけないと思いつつ
この笑顔に負けてしまうのは、
私も相当な親バカだろう。

それから卯月は、睦月君に教えてもらい
絵本などを破かなくなった。
しかし困ったことが……。

「ママ……」

「ちょっと忙しいから待ってね」

「ふええーん」

あれから買った絵本を気に入って
大切にしてくれるのは、いいが
毎日のように読んで読んでと来るようになった。
家事をしていたり仕事をしていてもお構いなしに。

絵本を大切にしてくれるのは、
嬉しいことなのだが
これでは、困ってしまうと思ったのだった。

END。