もう行かれたのかしら?
だったらお礼を言いたかったのに……。
残念な気持ちになってると彼女さんが
「あの……だったら。あなたは、誰なの?」
そう尋ねてきた。
うっ……やっぱり。
そうなりますよね……?
「すみません。
そのネックレスを探しに来た者です」
私は、事情を話すとやっと理解してもらえた。
うぅっ……災難だったわ。
「本当に申し訳ありませんでした」
「いえ。誤解が解けて本当に良かったです。
お幸せに」
何度も頭を下げてくるカップルに言った。
すると
「涼花?お前……そんなところで
何やっているんだ?」
先生の声が聞こえてきた。
見るとお風呂上がりの先生が
睦月君と卯月を連れて現れた。
「先生……!?」
あぁ、説明したら呆れられるだろうな。
浮気相手だと勘違いされたなんて
しゅんと落ち込んでいると彼女さんが
「ちょっとあの人。
ベストセラー作家の蓮見真夜じゃない!?」
「あ、本当だ。すげぇ~本物だ!?」
先生を見たカップルさん達は、騒ぎだした。
あ、先生が有名な小説家だと
バレてしまったわ!?
どうしようとしたら先生は、2人を見て
「状態がよく分かりませんが、
妻が迷惑をかけたのならすみませんでした」
何故だか謝罪をしてくれた。
「あ、いいえ。こちらこそ
迷惑をかけてすみませんでした。
あの……サイン下さい」
彼氏さんが言うと快く応じる先生だった。



