「あなた達は、家族旅行かしら?」

「あ、はい。夫を含めて4人で来ました」

先生を夫と言うのは、何だか照れくさい。

「あら、そうなの。ぜひ楽しんで行ってね。
この辺は、景色とか素晴らしいものが
たくさんあるから」

お婆さんは、そう説明してくれた。

地元の人なのだろうか?

「はい。ありがとうございます」

私は、笑顔でお礼を言う。

そして頭を下げて別れた。

とても優しそうで仲のいい老夫婦だった。
私もいつか先生とこんな夫婦になれたらいいな。

「優しそうなお爺さん、お婆さんだったね」

そう言いながら睦月君に言うと
硬直していた。

えっ?

「どうしたの?睦月君?」

そうしたら首を横に振るう睦月君。

どうしたのだろうか?
若干真っ青になっているような……?

何故かと首を傾げていたら
遠くから雄叫びを上げる卯月の声が聞こえた。

振り返ると居ない。

いつの間にか離れた場所にいた。

あ、いつの間に!?