キャンパス~モノクロ世界に色を~

* * * * * *

「騒がしいな…」


宙が戻ってきた。

呆れたような顔をして私たちを見ている。



「聞いてくれよ宙~。利愛がさ俺に冷たいの!」



「日頃の行いが悪いからだろ…」



「宙も俺に冷たい…!」



宙は、透真の話を無視して保健室のドアの方へ行く。

こっちと手を振っていて誰かを呼んでいるのかな?



「こんにちは!」



ひょこっと顔を出してきた人は

美人で可愛い女の子。

一瞬で惚れさせそうな…

あっ透真はもう目がハートになっている。

でも、こんな可愛い子が宙とどういった関係なんだろう。



「初めまして!東条 若菜って言います!」


明るい子だな~


「若菜は美術部に入ったばかりなんだ。お前のこと尊敬しているんだって」



「えっ…私に!?」



尊敬って…

尊敬されるようなことしてないけど?

でも嬉しいことだよね。



「こいつのこと尊敬って…ただの暴れゴリラだぞ?」



透真に無言で蹴りを入れた。

東条さんは苦笑いしていて、宙は今のは

お前が悪いとため息を吐いている。



「私、利愛さんの絵が大好きなんです!三年前のコンクールの受賞作見ました!」


「絵…」



そっか…

尊敬って絵のことだったんだ。

そうだよね、絵しか取り柄がないもの。

今は空っぽだけど。



「描かないんですか!?また見てみたいんですけど」



「もう描かないよ。あと、同い年みたいだし敬語はいらないから…」



正解は描かないんじゃなくて

描けないんだよね。



「利愛…」


また宙を心配させてしまう。



「あっ!私具合治ったし帰るね!」


今の状況が怖くて私は保健室を出て逃げた。