「気なんて使ってないから。でも何年か後には、せめてもうちょっと濃い味にしよ」



 笑いながら料理を口に運んでいると、胸がいっぱいで食べられない……とにやにやしながら銜え箸をしていた。行儀悪い! と一喝しても尚、にやにやした表情のままだった。






 ここ何か月かでわかったことがある。



蒼佑くんは意外に適当な人だということだ。



LINEや電話をマメにする人だと思っていたけど、家に来るようになってから、最低限の連絡だけになったし、メール不精の私には、それがすごく有り難かった。




他には、洗濯もするし、畳むのも一緒にしてくれるけれど、シワシワのYシャツのまま仕事に行くこともしばしばあった。

だらしのない服装の自分が注意できることではないけれど、スーツにそれはないでしょ、と言っても、アイロンをかけるのだけはやりたがらなかった。

代わりに私がやっていたけど、申し訳ないと一緒に形状記憶のYシャツを買いに行って、次第に蒼佑くんのものが増えていった。





その容姿から、チャラいと思っていたけれど、どっちかというとオタク気質で、よく家で漫画やゲームに勤しんでいる。


私も同じような趣味を持っているから、携帯ゲーム機だけでなく、家庭用の据え置きのゲームなんかも揃っていて、知らないうちに買った覚えのないソフトが並んでいた。