大阪から帰ったその足で、すぐにうちに来たと、蒼佑くんから聞いた。



会社に報告するために顔を出して、自分のうちに帰るわけでもなく、すぐに私のうちに向かったのだという。インターホンが鳴るなり、確認もせず応答したら、瑞樹だったと。

びっくりした、という蒼佑くんにそりゃそうだ、と唸った。

私が帰宅する前に、いろいろ、というか全て聞いたらしいが、瑞樹が酔ってて覚えていないだけで、おれ聞くの二回目だった、と話してくれた。



……ホテルにいた、理由とか。聞く? と顔を覗かれたけど、瑞樹が話さないのなら知らないままでいいと思ったし、これで丸く収まったのならこれ以上、かき回す必要はないんじゃないかと、二人して、瑞樹のことについて、うーんうーんと話し合った。



誰とつき合ってるんだか、と顔を見合わせて苦笑いした。

蒼佑くんと瑞樹が仲違いしたのではないかと、悩ましい思考回路に溺れたけれど、その日は聞くに聞けなくて、知らないふりをして過ごした。










 お正月。バレンタイン。ホワイトデー。

桜もそろそろ咲くかな、と季節の移り変わりを感じる日も、蒼佑くんと一緒に過ごした。





 年末は一緒に年越しそばを食べて、お正月は一緒に初詣に行った。



正月に初詣に行くなんて久しぶりの事で、人混みに疲れて、三が日はほとんど寝て過ごした。

バレンタインは、手作りのチョコをあげた。自炊をするから料理はできるけど、お菓子作りはしないから、ゴディバなんかのちょっといいチョコを買って渡すつもりだったけど、初めてのバレンタインは手作りのものが食べたいとリクエストされた。

口に出して意見してくれるのは楽だ。言葉にしてくれると、確実に相手の考えていることが分かるから。



ホワイトデーにはお返しをもらった。

クリスマスに高価なプレゼントをもらって渋ってたじろんでしまったから、お返しは別にいい、と言ったら、それは無理だと頭を悩ませていた。


結果、料理を代わりに作ってくれて、楽できてラッキーとばかりに、その日は家事に勤しむことなくだらだらと過ごした。


初めて作ったという肉じゃがが、とんでもなく薄味で笑ってしまったけど、この上なく美味しく感じられて、美味しいと言ったら気を使わなくていいよ、としょげていた。