それで代わりに誰が一緒に来てくれるの、と母と姉をちらちら見た。すると二人とも、私たちは行かないよ、と顔を見合わせていた。



「え、なんで! あたし一人で行くわけ?」



 だって私たち別に親戚じゃないじゃない、となんで責められるのかわからないと両手をあげた。



「いや、まあそうでしょうけども……」



 言っていることはわかる。

母と姉は色濃い親戚ではないし、嫁いできたといっても、父方の親族と会うことはあれど、近しくなければそんなに深くはつき合わない。



田舎だって、案外冷めた付き合いなところもある。

嫁はストレスが溜まる一方だし、おばあさんになってまで無理して出る必要はない、と割と軽めのスタンスを表明された。確かに、と納得した。

男性陣に、これが納得してもらえるものなのかは定かではないけれど。



「いいでしょ? 別に。賢二くんも、その後輩の新婦の子も友達でしょ」

「そうなんだけど、そうじゃなくて!」



 これ、と披露宴の席順を開いて見せた。




これお父さんいなかったら、謎の配列になるじゃん、と必死に訴えかけても、私らは違うけど、あんたはそこにいてもいいんじゃない、おかしくないよ、と素っ気なく話す姉に、おかしいよ! と反発した。



「あら。百合子。だって、あなた受付やるのよね」

「そうだけど? 頼まれたし」

「ならいいじゃない。誰も気にしないわよ」

「そうだよ、あんたのことなんて誰も気にしないって。主役じゃないんだから」



 言いくるめられて反論できない。母親と姉には到底敵わなくて、はぁい、と明日の準備に手をつけた。









 結婚式は、本当に感動するものだった。



席順なんて、披露宴が始まってしまえば関係なくなって、わあわあと、ハンカチの色が変わるくらいに号泣して、手が痛くなるくらい新郎新婦に拍手を送った。

賢二のご両親に、次は百合子ちゃんの番ね、なんて素敵な笑みを向けられたけど、絶妙な愛想笑いで返してやった。

ちなみに、ブーケは晴夏の友達だという子の手のもとに渡った。




 久しぶりの地元ということもあって、披露宴のあと、二次会、三次会、と行われて、中学校や高校の同級生とどんちゃん騒ぎをした。