「…、」

『…え?』



目の前には朔弥。

険しい顔をして立っている。



「サチが部屋に着いた。俺達も行くぞ。」


『…うん。』



俺は立ち上がると朔弥の後に続いて部屋を出た。


足音が響く。
下の奴らの溜まり場の前を横切るとだんだん俯いてしまう。


誰も俺を尊敬なんてしてないんだろうな。



「おい、顔あげろ。」



はっとして顔を上げると朔弥が前を歩きながら口元に笑みを浮かべていた。



「俺達ーー皇龍会の幹部は常に堂々とすんだよ。」


『…、』


「何を考え込んでるのかは知らないがせめて下の奴らの前では胸張って歩け。弱みを握られたら終わりだ。」


『ごめ…、「って俺何言ってんだよ。だぁー…幹部会は嫌いだ。」


『はははっ。』


「おい笑うな。今日は俺の車で行く。」


『分かった。』



いつの間にか俺は笑っていた。


やっぱりどこかこの場所は居心地がいい。


あとはサチが前みたいになってくれたらいいんだけどな…。