彼女は俺の焦りには気付かず話を続けた。



「私の昔を影で知る人、いない?」



…え?
また彼女を見るととても真剣な目をしていた。



『え…あ、えと。』



言葉に詰まる。しかしむぅは静かに俺が話すのを待っていた。その顔を見て何故だか無性に泣きたくなった。



『いたよ!うんっ!』



嘘だ。


しかし彼女はそれで納得したのか、ほっとした顔をした後電話を掛けた。


俺は横でそれを聞き流しながら歩く。
内容からしてサチのようだ。