「なぁ、この子を何処で拾ってきたって言うつもり?」


『…、』


「考えてないの?」


『中部地方。』


「……範囲が広すぎる。それじゃあすぐにバレちゃうよ?」



呆れた視線を受け止めながら目の前で眠っている女を見た。

分かってる。
だが誰にもこの女のことを言いたくなかった。


…ったく、全然起きないじゃねぇか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー






「…ん。」



あれから数日後。

女が目を覚ました。



「こ、こは…?」



まだ焦点が合っていない目で俺を見つめる。
一瞬、息をするのも忘れた。



「あの…、病院ですか?」


『俺は病院じゃねぇ。サチだ。』



俺は笑みを浮かべ女を見た。

側から見れば変な会話。
しかし俺はこの女の顔に意識が注がれていて全く気づいていなかった。




伊崎side end.