†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



_________

____________



——…琥珀が私の髪を乾かし終えてから、ドライヤーを直しに行った時の事だった。


部屋に来てから一度も口を聞いていなかった銀髪の彼が、ここにきて突然口を開いた。



「なぁ……アンタ。瑠璃だっけ?」


「……うん」



一瞬遅れて返事をした。


どうやらさっき、琥珀に呼ばれた時に名前を覚えられたらしい。


あれ?


そういえば、琥珀は彼がここに来てから一度も彼と話してないけどいいのかな?


まるで、



「俺ってば、もはや空気扱いじゃん」



そう、それ!!


私の心の声が聞こえてたかのようなタイミングだった。


それにしても、琥珀の”お仲間”さんらしいけど彼は


……誰?


私の疑問なんてお構いなしの彼は”まぁ、仕方ねぇーか。”と呟いたかと思うと私に



「俺は、鹿月右京。右京って呼んでくれよ。瑠璃」


自己紹介をしてくれた。そして、私は確信した。


( ……この人、絶対エスパーだよね!? )