†皇帝-emperor-†《Ⅰ》




家の主は、今この瞬間リビングに居るはずなのに玄関の扉は勝手に開いた。


そして、現れた見知らぬ男に私は目を見開いた。


銀髪の細身の男。


誰だろう?扉を勝手に開けたらしい彼の手にはこの家のものらしい鍵が握られていた。


……という事は空き巣ではなさそう。


安堵の息をつくと、



「……もう、大丈夫なのか?」



男は言葉を発した。



「……え?」



この人は、誰?


”もう大丈夫?”って何が??


私の中に新たな謎が芽生えた。


ここ数日、謎解きばかりしているせいか頭が痛くなりそう。


ふと、彼が私の髪に視線を落とすと



「……髪。濡れてるけど、そのまま外に出るつもりなら止めといた方がいい」


突然うけた彼からの忠告に何で?という思いで首をかしげると、



「……また風邪ひくぞ。外は結構、肌寒いから」



…らしい。


この人、親切な人だな。


空き巣とか思ってごめんなさい!!


ん?



「……また?」



今、この人”また風邪ひくよ。”って言ったよね!?


てことは、私が風邪ひいていたのを知ってる?



「……あの、もしかして琥珀のお友達の方ですか?」



私の問いに目を見開いた彼は、



へぇ~と言葉を漏らしたかと思うと、



「そうそう。でも、友達っていうよりは仲間だな?」



仲間?


そういえば琥珀も友達じゃなくて仲間って言い回しをしてたな。


サークルか何かかな?