『…それよりもお前はどうしてそんなトコに居たんだ?』
……ん?
(確かに、どうして私は自動販売機の横何かにいたんだっけ?、)
彼の的確な指摘になんと答えて良いか分からなくて、
「……何でだっけ?」
質問を質問で返してしまった。
でも、確か…
「……えーっと。寒かった——……からかな?」
寒かったのは覚えてる。
あれ?でも、じゃあ何で家から出たんだろう?
考えれば考える程、分からなくなるばかりだった。
——ピーピー
そこで私の思考を遮るかのように洗濯機が鳴り響き終わりを告げた。
そろそろお暇しようかな。
「……松雪琥珀」
『……!』
あれ?何か……驚いてる?
私の呼びかけに驚いたような反応をした彼は、フッと笑みを零して
『…琥珀でいい』
と言った。
「あ、‥…えっと、琥珀。私も瑠璃でいいよ。あのね?……」
『ああ。何だ?……瑠璃』
彼に名前を呼ばれた瞬間、何故か心が弾んだ。
私はそれを何故だか隠すかのように、
「……色々とありがとう。私、そろそろ帰るね?」
と早口で告げていた。
