(……あ、そうだ。思い出した!)
そこで私は自分が何を忘れていたのかを思い出した。
それは、どうして自分がここにいるのかという疑問だった。
私は一旦彼から目をそらし、考え事をする時のくせである宙に目をさ迷わせた。
(……自分からここに来た覚えはない。)
でも、彼が私をここに連れてくる理由なんて、
私は、彼に視線を投げかける。
それに気づいた彼はサッと私に視線を合わせて聞いてくれるらしく、黙って私を見据えていた。
そして私は、静寂を守る彼に疑問を投げかける。
「……私、どうしてここにいるの?」
私の問いに一瞬、間をおいた彼は、
『……ああ。右京——……俺の仲間が自販機の横で寝ていたお前を連れてきた』
(そう言えば、)
私は自販機の横で意識を手放したのまでは覚えている。分からなかったのは、その後どうやってここに来たのかだった。
ここに来て、やっと謎が解決してスッキリした。
「……あ、ありがとう!!」
一応ね?
『礼なら俺じゃなくて、お前を見つけた右京に言ってやってくれ』
右京?
どうやらその人が、私を自販機の横から見つけたらしい。
じゃー、ここまで運んでくれたのも右京って人なのかな?
