相当、母親の職場というのはストレスが溜まるらしい。俺の泣き声なんてこの人の胸には響かない。
そんな事を知ったのはいつだっただろうか。諦めるという”逃げ”を知ったのは。
それでも痛いものは痛かった。
悲痛をにじませた涙も声も次から次へと溢れ出す。
殴られるだけならまだ良い方だった。タバコを押し付けられた時はヒリヒリと痛みが体を走り、数日経っても痛むときがある。
ボロボロになった俺の体は汚かった。
いくら年を重ねようがタバコの跡は完全には消えてはくれない。
仮に消えたとしても、——……俺の目が、耳が全て覚えている。
そして、その日も俺は母親が起きてくるのをビクビクしながら待っていた。
