俺は学校に在籍さえしているものの通ってはいなかった。……いや、正確には通う事が出来なかったと言うのが正しい。



なんたって俺の体は無数の痣やタバコを押し付けた跡だらけだったから。



ソレをつけたのはもちろん実の母親だった。


(だからだろう。)


俺は、それまであの人を一度も母親だなんて思った事はなかった。


あの人も俺を同じ人間だなんて思っていなかったのだろう。ましてや、自分の息子だなんて考え、あの人にはなかったのかもしれない。


あの人の家での行動パターンはいつも同じように繰り返されていた。


家に帰りつくと、シャワーを浴びて華やかな化粧を落とす。


そこから昼間まで仮眠をとる。


昼を少し過ぎた頃にムクリと起き上がったかと思うと食事をする。


食事を終えたあとは決まって、俺を見る。


もちろん親としてのつとめを果たすためじゃない。




俺はこの人とっての、——ストレス発散器具。