——…涼と陸によれば昨日、琥珀が見知らぬ女の子を家にあげたとか。


あの琥珀が?……俺は、どこか信じ難いその話をどうにも本気に取れなくて考え込んでいた。


だけどそこで、俺の思考は現実にひき戻された。


タイミングを見計らったかの様に琥珀から着信があったから。



「…もしもし、?琥珀…?」



俺は通話に応じながら、



『ああ……今、いいか?』


「うん。……いいよ」



相手の出方を待った。



『悪いが……発熱に効く薬持ってきてくれないか?類』



……薬?琥珀が、?風邪かな?



「いいけど……琥珀、熱でもあるの?」



やはり、不規則な生活というのは体調を壊しやすいのだろう。



『……俺じゃ、ねーよ』



琥珀じゃない?……じゃー、一体誰が薬を必要としている?



俺はそこでひとつの可能性を導き出した。さっきまで俺の思考を独占していた”例の女の子”だと。


俺は気になった。今まで何事にも無関心だった琥珀を変えた。しかも、たった一晩でだ。


だからだろう、俺の口は俺の意思とは反して、



「……分かった。すぐ行くから」



と零していたんだから。