——…シャワーを浴び終え、俺は”あの猫”のいる寝室へと足を進めた。


扉を開けると膝を抱えた小さな背中が、アイツの姿があった。


扉を開けたことで俺の気配を感じたのか女はこちらを振り返ってあの透き通ったこげ茶の瞳に俺を写した。


今度は意識がはっきりした状態だったからだろう。


俺は目の前の女——初めて自分が興味を駆り立てられた女をまじまじと見た。


俺は不思議と女を見てると笑みを零すようになった。


( ……自分でも理由は分からない。)


だけど、どうしようもなく楽しんでいたんだと思う。


きっと、無意識だったんだ。



『…起きてたのか』



そう、言葉を零したのは。


女は少し警戒するような諦めた視線を俺に投げた。


その視線を受け止めた俺は再度女に言葉を投げる。



『…もう、寒くないのか?』



そして、虚を突かれたようで女は、



「へぇ……?」



とソプラノがかった声で間の抜けた返事をした。


そして、何を思ったのか顔をしかめてこころなしか顔が赤くなったように見えた。


一拍おいて、俺の問いを頭がようやく理解したのか。



「…あ!!大丈夫。あの…ありがとう」



言葉を放った。


女の返事に満足した俺は、



『…そうか』



つかの間の安心感を得た。


自分でも気付かないうちに俺は自然と笑みを浮かべていたらしい。