闇を照らしゆく月の光に代わって、俺のまぶたに落とされたのは夜の闇にまるで終止符を打つかのような暖かな陽の光だった。


ベッドに沈んだ二つの体は未だに絡まるように向かい合い熱を分け合っているかの様だった。


俺は、今でも眠れる体だったらしい。


自分で自分に驚いた。隣の女はまだ長いまつげを伏せ吐息を立てている。俺は、もう少しだけこの安らかな時に浸っていたくて女にならってまぶたを落とした。


そして、暖かな日が差し込む白い部屋の中で俺は眠りについた。


次に目が覚めたのは胸部に突然、衝撃を受けたから。


一瞬、何事かと身構えようとしたがその衝撃があまりにも微力だったからだろうか?


アイツだって思い直しゆっくりとまぶたを持ち上げ視界に映したのは予想通りあの女だった。


女は意識がはっきりしてるのか、俺の胸部に頭を埋めながら細やかに体を震わせていた。


こいつ、寒いのか?


俺はそこで女に問いかけた。



『寒いのか…??』



俺の問いに返ってきたのは透き通ったソプラノがかった驚いた様な声色だった。



「…っえ!?」



その声とともに向けられた大きな零れそうな瞳に俺は釘付けになっていた。


綺麗なこげ茶の瞳は声と同様に透き通っていて穢れを知らなかった。


俺の質問に答えたらしい女は震えながら首を縦に振った。