何もない月明かりが差し込む部屋。 明かりもつけずに女をベッドに寝かせた後、今日も俺は”籠の中”から外を見る。 いつもなら孤独齎す月明かりは何故か今日は優しかった。 そこに在ってないもの。 月明かりは残酷にもみな平等に照らしゆく。 闇を月光で照らしているようで本当は闇を強調しているだけの月が俺は嫌いだ。 ——そして、皮肉にも俺と瑠璃が出会ったのは月明かりが眩しいほどの”満月”の日だった。