——…光の届かない闇。


唯一の月明かりはスッと入り込んだかと思うとカーテンに遮られ遮断される。


入り込もうとするモノを拒み”拒絶”する。


まるで俺自身のようだ。


光が苦手だと言ったら笑うだろうか。


暗闇が落ち着かせてくれると言ったらお前はどんな表情をするだろうか。


明かりもつけずに窓から月を見上げている俺はただ、月を見上げているだけで月そのものは全く見ていない。


これが俺のいつもの日常、だった。


只々、息をしているだけ。


何のために?


くだらない自問自答にもいい加減、嫌気が差していた。


あの日、お前と出会って俺は変わった。



窓際に座り込むと藍色に輝く月が光を放つ。


真っ白な壁にフローリングと言ったよくある部屋の間取りで少しばかり広いらしいこの部屋はいつも俺に孤独を齎す。


部屋にものを置くのが俺はあまり好きじゃない。


だから、この部屋には中央に置いたベッド以外の家具は何もない。


この家には、ほとんど寝に帰ってくる様なものだし問題はないだろう。