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——…目の前の”第二音楽室”の扉に琥珀が手をかけた時、一気に風が吹き抜けるような感覚が襲った。



一瞬、思考が止まった。


(今のは、何?)


琥珀を窺い見るも、彼は特になにも感じないのかその扉の中へと足を踏み入れた。


それに習って、私もそこへ一歩足を踏み入れた。


扉の中はアンティーク調になっていて、とてもじゃないけど学校の中とは思えない作りになっていた。



「……琥珀。ココは?」



琥珀はここに来て、ようやく私を視界に捉えた。



『……ああ。何か迷った時に俺はここに来る。だから、お前を連れてきた』


「……え?」



琥珀からみたら、私は迷っている風に映っているらしい。


そうだね、迷っているのかもしれない。



『ここを俺達は”時の部屋”と呼んでる』


時の部屋。


その響きはこの空間とマッチしていて、気に入った。”時の部屋”彼の放った言葉が頭の中に反響し木霊する。


( ……ん? )



「……琥珀、達って?」


『あぁ、』



琥珀が私の問いに答えようとしたその時だった。


彼の言葉を遮るように、扉が開く音がした。