自分の涙に、私自身が一番驚いた。
どうして?
でも、さっき琥珀に目をそらされた時胸のあたりがチクリと痛んだ。
(……あ、そうか。)
私、悲しいんだ。
私は琥珀に、目をそらされた事を自分でも知らないうちに悲しんでいたんだ。
だって、彼は私の話を聞いてくれている時は必ず目を見ていてくれていたから。
「琥珀。……私、」
『…ん?言ってみろ。ゆっくりでいいから』
琥珀の顔が段々と優しくなる。
綺麗な唇は弧を描き、凛々しく美しい顔が優しさで満ちる。
瞳は慈愛で溢れる。
琥珀の優しさと言葉に後押しされるかのように私は言葉を零した。
「……琥珀に嫌われるのが怖い」
目をそらされるのはもっと怖い。この感情は初めての感情だ——どうしてだろう?
自分でもわからない。
会ったばかりの人なのに、何年も前から知っているかの様に私は琥珀の横が落ち着く。
あの日から。
心が彼を欲している。
琥珀を私は、
(……渇望している。)
