†皇帝-emperor-†《Ⅰ》




私が引っ張られたことによって、私と高橋君との距離が開いた瞬間だった。



私の身体に腕を回した彼が言葉を降らした。



そして、落とされたのは



『……コイツ、俺の』



( え‼︎?……こ、琥珀!? )


顔の位置が明らかに私よりも高い位置にある琥珀を見上げると、



どこか不機嫌に見えるのは私だけ?



私は琥珀がいつの間にか起きていたことへの驚きを、高橋君といえば何故か呆然。



口は開いたかと思えば閉じるの繰り返し。まるで金魚状態の高橋君。


そして、


「……ま、松雪さん!?」



さん??


アレ?もしかして琥珀って私より年上なのかな?


それにしても”松雪さん”って仮に琥珀が年上だとしても…、松雪先輩じゃなくて?


あれ?高校って先輩のことを”さん”で呼ぶものなのカナ??



(……まあ、いっか。)