†皇帝-emperor-†《Ⅰ》




散々、考え末に私は何かブランケットのようなひざ掛けが無いか探しに行くことにした。


琥珀をチラチラと振り返りながらも走り出した瞬間、前方不注意だった私は何やら壁のようなものにぶつかった。



( ……え? )



転びそうになりながらも何とか堪えた。



( ……な、何? )



恐る恐る、ぶつかった物を見る。



目の前には——壁?



……じゃなかった。


どうやら私は誰かに思いっきりぶつかってしまったらしい。


私はその人を見上げた。



「痛ッ!!……んだよ、何で女がここにいんの?」



( ……誰!? )



「あ……ご、ごめんなさい!!」



一瞬、顔をしかめた男の人だけど私と目があった瞬間



「……ん?モモちゃん??」



ん?耳慣れないけど聞き覚えのある――その呼び方をするってことは!!



「俺、同クラの高橋。モモちゃん、何でココにいんの??」



(やっぱり、!)



あ!……高橋君か。目の前の彼、改め高橋君はクラスメイトの中で一番最初に話しかけてくれた人でどうやら彼はクラスの中では中心人物らしい。


カラフル頭の中でも特に人目を引く金髪に白のメッシュ、カラコンを入れてるらしい瞳は緑だった。


そんな彼が、



「モモちゃんを、探しに出てきたんだけど。中庭は来ちゃダメだって榎本に言われなかった??」



そ、そうなんだ?


先生の話、聞いとけばよかったかな。


高橋君が中庭にどうして入っちゃいけないかを話してる時だった。



突然、私はお腹に回った腕によって後ろに引っ張られる形となった。



「……え?」



目の前の高橋君の顔はひきつっていた。



( ……何で? )