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それは、校舎を抜け出て渡り廊下に出た時だった、私はどこか中庭らしき場所に迷い込んだ。
そこにあった。
名も無い一本の樹木。
自分でも何故か分からないけど、私はその樹木を目指して歩き始めていた。
樹木との距離が残り1メートル程の所であることに気づき、私の足は止まった。
そこには、校舎側からは見えないけど誰かがその樹木にもたれ掛かるかのようにして眠っていた。
……綺麗な人だった。
だけど私はそこで無防備にも眠る彼を知っている。
綺麗な容姿に絶対的な存在感は、忘れもしない。
——……琥珀。
