すごく寒かったのを覚えてる。



凍≪い≫てつくような凍≪こご≫えるようなとにかく寒すぎて手の感覚を失うほどだった。



暖を取りたかった。



あまりにも気温が低すぎて、雪がまばらに降っている事すら気にも留めずに皆一様に家路を目指す。



気付けば辺りは静寂に包まれていた。



寒さに堪え切れずに近くに暖かい場所はないか探しながら歩みを進めた私はとある名も知らない公園に入った。



真っ先に見えたのはその小さな公園で唯一光を放っていた赤いボックス。



――自動販売機。



そこにあった自動販売機の横が想像以上に温かくて、つい眠ってしまった。



後≪のち≫に、これが私の生活を180度変える事をこの時の私は知る由もなかった。