「いや…俺やらないよ?」
「「「「「何でですか!?」」」」」
「き、教師だし…恥ずいし…?」
「「「「「先生なら絶対かっこいいと思います!」」」」」
すごい。皆声が揃ってる。
そんなに先生の執事姿が見たいのね…
しかし、先生は執事喫茶を断固拒否し、結局コスプレ喫茶をする事になった。
クラスに『コスプレが趣味』と言う人がいたので、
警官やメイド、幼稚園児、ナースなどのコスプレをして接客するらしい。
「碧、帰ろうぜ。」
出し物が決まると解散なので、帰る準備をしていた所に圭太が来た。
「あ、うん。紗那バイバイ。」
紗那は私達を見てニコッと微笑み、手を振ってくれた。
『圭太と付き合う事になった』って言った時は驚いてたなあ…
今は少しニヤニヤしてるくらいだけど。
2人並んで廊下を歩く。
「あーあ、オレお化け屋敷やりたかった。」
「喫茶店も楽しいって。」
「まあそうだけど…」
圭太は少し不満そうに口を尖らせている。
話しながら歩いていると、前から先生が歩いて来た。
無視するのも変だよね…
「先生、さようならー。」
顔も見ずにそう言う。
すると、先生はフッと笑って頭を撫でた。
「はい、さよーなら。」
い、今撫でなくても良くない!?
隣に圭太いるの見えてるでしょ!
横目で圭太を見ると、ますます不満そうな顔をしていた。
付き合い始めて約3ヶ月。
付き合ってるって言っても、前とそんなに関係は変わってないように見える。
教室でもそんなに話すワケじゃないし、人前でベタベタしたりもしない。
でも、学校の校門を過ぎると手を繋ぐようになった。
それが、今までとは違うと言う事を実感させられる。
歩いていても、電車に乗っていても…家に着くまでずっとだ。
前に、『電車に乗る時くらいは離そうよ』って言った事があったんだけど
圭太が全く聞く耳を持ってくれないから諦めた。
でも、こんな所お母さんに見られたら恥ずかしいよ…
絶対からかわれるもん!
「えっと…圭太?家着いたよ?」
いつもなら家に着くと手を離してくれるのに、今日はまだ繋いだまま。
どうしたんだろう?
学校出てからもずっと無言だったし…
さっきの事で機嫌悪いのかな?
「けいた……きゃっ?!」
もう一度名前を呼ぼうとしたら、ガバッと抱きしめられた。
ここ外なのに…!誰かに見られたら…!

