「人が気持ち良く寝てたのに〜…」


私はブツブツ文句を言いながらスマホに手を伸ばす。


ん…?待てよ…?


もしこのLINEが圭太だったら?


この空気の読めないタイミングは、有り得る…!


ほ、ホントにそうだったらどうしよう!?


あ、でもLINEなら顔見えないし…別に大丈夫か。


そう思いながらも、恐る恐るスマホを開いた。


3通も来ている。


【あーちゃん!】


ん?沙那だ。


【やばい!どーしよう!】


ごめん、空気の読めないタイミングとか言って!


見えない相手に向かって謝る。


しかし、私の手は次の1文を読んで止まってしまった。


【先生の車で送ってもらえる事になった!】


え…


それじゃあ、今は先生と車に二人きり…?


ピコンッ


【めちゃくちゃ嬉しいよ〜!幸せ♪】


その文面から、本当に嬉しがっているのが伝わってくる。


紗那に悪気がないのは分かってる。


悪気も何も、私も先生が好きだって事を知らないんだし。


しかも、紗那が先生の事を好きだと知っていて、後から好きになったのは私だ。


それなのに、立派に嫉妬なんてしてしまう。


「邪魔者は、どう考えても私だよね…」


私は、込み上げてくる涙を堪えながら返信した。


【よかったじゃん!ドライブ楽しんで(^_^)】


だって、私が泣くのはおかしいもん。


もし私の気持ちを知ったら、泣きたいのは紗那のはず。


「碧ー!ご飯できたわよー?」


「っ…はーい!」


泣きそうな自分の顔をパンパンッと叩く。


そして、無理やり笑顔を作って階段を降りて行った。