雨の日は君と。~先輩の香り~





    ――― side Ritsu ―――




『……っこわい』


風和の声が耳から離れない


風和を怖がらせるようなことを
してしまった


我慢するように風和に冷たい態度を
とってしまったけど

あんなに泣きそうな声で怖いと
訴える風和を見たら一瞬で我に返った


俺、何やってんだ…っ



今日は李子にも一緒に寝ろって
言われてたけど、多分無理だ。

風和に怖い思いをさせたのに
一緒に寝るなんて無理だろ


俺はリビングのソファで寝るかな



―ゴロゴロゴロッ


そういえばさっきも鳴ってたな

雨の日だからそばにいてやりたかったけど


…思ったより傷ついてる

風和には「怖い」なんて言われない
自信でもあったのかよ

…自分で自分が嫌になる