雨の日は君と。~先輩の香り~





私がそう呟くと李月君は、ハッとした顔
になって私から離れようとした


「…ごめん」


李月君の声が遠くに行く気配だけがする


待って、行かないで…


「離れないで…」


私は李月君の腕を掴んで言った


李月君はまた不機嫌な顔になって呟いた

「矛盾してない?
 怖いって言うくせに離れないでって。

 …意味わかんないんだけど」


「いや、あの…」


私が怖いって言ったのは李月君だって
勘違いしてる、多分。


「あんまり俺を困らせないでよ」


そっぽを向いて言う李月君に
胸がズキンとする

私、李月君を困らせちゃったんだ…



「…ごめんね。
 私、寝るね」

寝ればきっと雷の怖さなんて忘れるよ…


「ベッドで寝ていいよ」

「…うん」


今は、これ以上李月君と話せないと思って私はベッドに寝かせてもらうことにした