「あ。ごめん。桜木さん。」

そういって私の目からとも先輩の手が離れる。

桜木さんってなんかちょっと嫌だな。

とも先輩にもりょうくんみたいに

名前で呼んでほしいな。

こんなこと思ったら欲張りなのかな。

でも今言わないとこんなチャンスもうない。

「桜木さんって呼ばなくていいです!」

あれ。ちょっと上から目線すぎかな。

これだと逆に変に思われないかな。

どうしようどうしようと考えていた時に

「じゃあ……はる??」

ドクンと心臓が音を立てた。

とも先輩の声で呼ばれる私の名前。

他の誰が呼ぶのとも違うこの感じ。

一瞬で自分の名前が特別になったみたいな。