近づきたくないのに、体は何故か前へ進んでいった。 心は逃げたいって言ってるのに。 ……私って、バカだ。 私の存在に気付いた香奈恵ちゃんは手を振ってこっちを見た。 その笑顔が、とても痛くて。 泣きそうになるのを堪えて、私は手を振り返して、そのまま自分の席へ。 といっても、思ったより薄い壁の向こうから2人の楽しげな声が聞こえて、手をキツく握り締めた。