急に言われたことに対して、顔をしかめた。
明らかに馬鹿にした言い方に小さな怒りを覚えたからだ。
「あれ、図星?」
そう言ってのぞき込んできそうになるのを防いだ。
ただ顔を背けただけど。
桃田さんの言い方はたまにトゲがある。
ただ素直になれないってところが表に出てきちゃったように思えるけど、
でもその言葉は核心がついているものばかりだと思った。
つまり、私は言い当てられてムカついたということ。
「あたしはね、淳介のこと小さい時から大好きだった。幼馴染みっていうだけで最初は満足してたんだ」
遠くを見据えている彼女を見る。
もうそこには悲しみが見えなくて、とても和やかな目をしていた。
「でもいつの間にか好きが溢れ出て、……コクったの」
だからね、今回のは2回目ってことになるんだ、と笑って言う桃田さんをただ見つめる。
とても苦しんだのだろう。
私と似たような顔を垣間見えたから。
「あの時も、去年も、告るつもりなんてなかった。なのに焦っていたんだ。淳介が……」
遠くに行ってしまうと思ったから、と声を震わせて言った。
そっか、幼馴染みでも遠く感じるのか。
いいなって思っていたけど難しい存在なんだね。
「……幼なじみでも、大変なんだね」
「当たり前じゃん。毎日必死だったんだから」
眉間にシワを寄せて頬を膨らませている彼女に「知ってるよ」と言うと、パッと顔を背けてしまった。
それを見て思わず笑わざるを得なくなってしまった。



