「……淳介にはね、好きな人が、いるんだって」
涙声で言われた言葉に、血の気が引く。
へぇ。そ、うなんだ……、やっぱりキミには好きな人が、いるんだ……。
どうしよう。
かなりダメージを食らってしまったみたいで、視界がぼやけてきた。
何より桃田さんじゃない人を想っているキミに心が痛む。
そりゃ、キミにも好きな人ぐらいいるよねっ。そうだよね。
「その子、可愛いんだって」
私を横目で見る桃田さん。
それに気づかず、私は天井の黒ずみを眺めている。
……そっか。キミは可愛い子が好きなんだ。
どんどん心が黒く染まっていくのを感じた。久しぶりのこの感覚。
だから余計苦しくなった。
「でね、その子、」
「あっ、それ以上言わなくていいよ」
もう耐えられなくて桃田さんの言葉を遮った。
やっぱり私とキミは結ばれない運命なんだ。
だってキミには好きな人がいるってはっきり知ったんだもん。
告白する前に、フラれちゃった……っ。
……もう、やめようかな。伝えるの。
そう思った矢先「なに、もう諦めるの?早くない?」とフンと鼻で笑う桃田さんを見た。



