届かないこの想いを、胸に秘めて。





でもね、我慢するよりは思いっ切り泣いた方がいいと思うよ。

時には誰かにすがって泣くのも。


そうして思ってることを全部、涙とともに流しちゃえばいいと思うんだ。


だって私がそうだったから。



あの早とちり事件の翌日。和海ちゃんに話して、思いっ切り泣いて、自分の思いをすべて吐き出せたんだもん。

そのお陰もあって、こうして仲良く笑って過ごせている。




だからね?ホンネで話そうよ。




「ううん、違うよ。私は、ただ桃田さんにホンネをぶつけに来たの」

「えっ……」



顔を上げた彼女を目にして優しく微笑んだ。

大きな目から涙が浮き現れていて、目を瞑ると零れ落ちそうだった。




「私は、中村くんが好き」


口にするとやっぱり胸の奥が締めつけられて、甘く痺れた。



「だからね、中村くんに告白しようと思うんだ」

「…………」

「そうするためには桃田さんに、告白することを許してもらわないといけないわけで……」



いくらなんでも、勝手に告白をしようだなんて、それは彼女の桃田さんにはとても失礼なことだと思うから。

だからこの一週間、彼女に許可をもらうべく思い悩んでいた。



だって嫌でしょ?彼氏さんが告白を受けているなんて。

私は……たぶん嫌になると思う。仮の設定で考えただけで苦しいもん。