夜になると、ごろんとベッドに身を投げて天井を見た。
微かにシャンプーの香りが漂う。
この香り好きだな〜と思いながら目を閉じて、今日を振り返った。
自然と笑みが浮かんで、異常な顔になっていくのを感じた。
正常に戻そうとしたけど、頬の筋肉は持ち上がったままで、
どうすることも出来ないと悟った私はその顔のまま今度は枕に顔を埋めた。
「ふふっ」
思い出し笑いを繰り返す自分を、第三者の自分が白い目で見ている気がした。
そのぐらい浮かれててしょうがないんだ。
初心に帰ると、心に雲がかかった。
またクエスチョンが再始動する。
走り去ったキミが苦しそうに見えたのは気のせい?
なんでそんな顔したの?
桃田さんは、知らないのかな?
キミが苦しんでいること。
彼女さんなのに。なんで手を差し伸べないの?
キミを笑顔にできるのは桃田さんだけなはずなのに。なんで?
どうしてキミは苦しく笑うの?
……明日、桃田さんと話してみようかな。
嫌だけど。仕方ない。
これはキミを笑顔にさせるためでもあり、キミに伝えるための最後のステップになるから。



