「俺、長田さんが思ってるような強さないよ」
そう言って私の目を捉えて笑う。
でも目が悲しく光ってみえた。
「俺だって、長田さんみたいに悲しんでたし、いつも笑ってなんかいなかったよ」
今度は悲しく笑った。
私はただ目の前にいる鴇田くんを見ているだけで、口を閉ざしたまま。
あぁ、これから私は彼を振るんだ。
……苦しい、な。
嫌だな。
勝手だな、私って。
告白を断るって、こんなにも悲しくて苦しいんだね。
鴇田くんだから、そう思うのかもしれない。
彼にはたくさん元気をもらっていたから。笑わせてくれたから。
感謝することばかりなんだ。鴇田くんには。
鴇田くんの顔を見た。
目が合って私から笑いかける。
どうか、これから伝えることで鴇田くんの笑顔を奪いませんように。
泣いたっていいんだよ、鴇田くん。
でも笑っていてほしいと心から願う。
鴇田くんには、友達でいてほしいから。
彼が笑い返したのを合図に、『ありがとう』を込めた声を、告げた。



