届かないこの想いを、胸に秘めて。






「今度から、俺もここ来よっかなー」

「いいと思うよ」

「じゃーさ、みんなでお昼食べようよ!」



窓側に立て外を眺めていた鴇田くんがこっちを振り向いて言った。


私からは鴇田くんの表情が見えなくて目を細める。

彼を発光したオレンジ色が包んで、シルエットだけが浮かび上がる。



不意にかっこいいと思った。




なんで、私は彼を好きにならなかったのだろう。






「……鴇田くん」

「いいよ。思いっきりフって」



さあ、と笑顔を向けてくる。



……なんで彼はこんなにも、笑顔でいられるのだろう?

私はもう泣きそうなのに。





…………そっ、か。

もう覚悟は出来ていたんだね。こうなるってことを想定して。

だから潔くここまで笑顔でいられているのかもしれない。





「そんな顔するなよ。俺だって、結構耐えてるんだから」


近付いて私の頭をポンとのせながら、ニッと歯を見せて笑う。




「……鴇田くんは、強いね」

「強い?」

「うん、強い。……羨ましいな」




私にもこんな強さがあったら、キミともっと早く向き合うことはできたのかな?


出来ていたと思う。
真っ直ぐにキミの元へ駆けて行って、想いを伝えてた。


すべてにマイナスな考えでスタートしていなかった。



臆病すぎて、笑えちゃうよ。ほんと。